ピンポイント採用の未来はどうなる?日本・海外の動きから予測

ピンポイント採用に関連して、日本でも「ジョブ型採用」が議論に上がることが増えてきました。

まだまだ日本で浸透しているとは言えないピンポイント採用ですが、今後どうなっていくのでしょうか。

最新ニュースや、海外事例を参考に、未来予測してみたいと思います。

 

・日本の採用市場最前線にご興味をお持ちの方

・経済成長している海外の雇用についてご興味をお持ちの方

 

このような方は、ぜひともご覧ください。

 

新卒一括採用だけでは難しい未来?

昨今の有効求人倍率の高まりにより、多くの学生を集めてふるい落とす採用手法では、採用成功が難しくなっています。

応募が集まる企業でも「自社が求める人物像はこない」というご相談を受けることも多々あります。

 

<参照データ>

第 38 回 ワークス大卒求人倍率調査(2022 年卒)

→有効求人倍率1.5倍。これは学生数よりも求人数の方が1.5倍多い状態を表しています。

採用対象が理系など人気学部である場合や、会社の知名度によっては更に厳しい数字となります。

 

こういったことから、近年では「新卒一括採用」「メンバーシップ型雇用」「年功序列型賃金制度」といった、日本の伝統的な雇用制度や人事制度は崩れていくのではと言われています。

 

日本の採用市場最前線

記事を執筆している2021年5月下旬、飛び込んできた話題のニュースがこちらです。

 

三菱UFJ、1年目で年収1000万円も…新卒採用に「ジョブ型雇用」は成功するか

 

記事には、ITと金融を掛け合わせたサービスの台頭により、銀行業界でも変化が起きていると書かれています。

そのため通帳アプリや、QRコード決済などのシステムを構築する「ファイナンシャル・テクノロジー」など、4分野において「専門職採用」を実施するとのことです。また旧来の「年功序列制度」の改正を2019年に行い、個人の人事評価に基づく制度に改めました。

 

ブランドも知名度もある会社がここまでする理由は、専門職人材の驚愕の競争率の高さでした。

 

転職求人倍率レポート(2021年4月)

求人倍率は+0.02ptの1.88倍。求人数、転職希望者数ともに増加。求人数の増加のほうが大きく、求人倍率は上昇。

→全体の求人倍率は1.88倍、IT技術者は8.34倍、機械電気の技術者は2.93倍、土木建築技術者は4.68倍となっています。

 

専門職人材は圧倒的な売り手市場です。求職者からすると「いくらでも就職先を選べる」ため、採用のために待遇を変更する企業が出てきているのです。一般的な営業の求人倍率1.68倍と比較すると、専門職人材の市場価値(年収)が2〜4倍程度になったとしても不思議ではないでしょう。

 

このように、スキル保有人材の採用競争率の激化に伴い、制度変更を進める企業が増えてきています。

 

<参考記事>

日立、富士通、資生堂…大企業ジョブ型導入で崩壊する新卒一括採用

 

海外における雇用制度とは

ここで日本だけでなく、既にジョブ型雇用制度が一般化している海外へも目を向けてみましょう。

 

日本の人事部

ジョブ型雇用とは――制度概要と背景、メリットなどを紹介 – 『日本の人事部』

 

スキルに合わせたプロフェッショナル採用としてジョブ型雇用が浸透しているアメリカ、メンバーシップ型とジョブ型雇用の中間に位置するドイツなど、一口に海外とはいっても国の環境や文化により、各国の雇用制度は異なるようです。

 

日本でも新卒一括採用やメンバーシップ型雇用制度を維持しつつ、ITエンジニア、機械設計エンジニア、土木建築設計士など、専門スキル人材採用においてはジョブ型が適用される「ハイブリッド型」が続くのではないでしょうか。このようなピンポイント人材採用を狙っている企業様は、未来を見据えて今から制度設計を始めることが必要かもしれません。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

 

新卒採用市場でも話題に上がる「ピンポイント採用」に関して、日本においては単にアメリカ式のジョブ型雇用制度、タスク型雇用制度をすぐに真似るというよりかは、新卒一括採用も残しつつ、専門スキル人材には好条件の待遇を用意するという形で定着していくのではないでしょうか。

 

こういった採用を狙う企業様は、自社にどんな人材が必要なのか、その人材の市場価値は現在どれくらいなのかをしっかりとモニタリングした上で、選考のフローや労働条件の整理が必要になるかと思います。